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しんしゅん・にほんのそらをとぶ
新春・日本の空を飛ぶ
「読売新聞 第二六五九六号」1951(昭和26)年1月3日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,136 字 · 5 页
頭だけ雪。平凡な富士だ。真上をとぶと面白い形であろうが、沖合遥かに見れば地上から見るのと同じ形の富士である。天城を越える。三原山のように砂漠がないから、冬の山々はたゞ単色のヒダが無限にひろがっているだけ、真上からでは下の山々にはヒダだけで高さが存在しない。
静岡、清水をすぎて雲海の上へでる。青空の深さ。太陽の白光の強烈なきらめき。熱気が顔にやきつく。高度四千二百。これより動揺皆無。
カクテル・パーテーがはじまる、エアガールがニコニコと往復多忙である。スカアチ・ソーダ(スコッチ・ハイボール)の氷の冷めたさが沁みるようだ。にわかに吐き気が治って、酒の酔いとなる。死人が墓石を倒して踊り出たようなものだ。奈良から晴れた空を急降下、伊丹飛行場につく。耳を痛がる人が多い。急に増圧のせいだ。着陸卅分後まだ耳が聞えないとこぼす人もいる。私は潜水になれたせいか、全く耳に変化を感じなかった。
岸田兵庫県知事、ミス大阪等出迎え多勢である。伊丹ときいて、福田画伯と私は、伊丹の生一本を飲まずんばあるべからずと脱出を試みたが、軍用飛行場で外へ出してもらえなかった。さッさと機上へ押し上げられ有無を言わさず連れ戻されてしまった。