轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
03 第三分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 页
きのう小父さんと会って話しこんだものだから、先生はゆうべ熱が出たって仰っしゃっていた。今朝だって、ご機げんが悪くって、おらまでがお叱言だ」
と、訴えた。
「失礼なことを」
おゆうは、彼をたしなめ、藤吉郎へも詫びていった。――決して兄は、あなたにお会いしたために臥せったわけではないが、すこし風邪心地らしく、きょうは臥床にいるので、お越しの趣は伝えておくが、どうか悪しからず今日のところは……と、それとなく彼の訪ねを断った。
「それはご迷惑でしょう。思い止まって立ち帰りますが……」
と、懐中から矢立を出して、懐紙へこう書いた。
閑中ニ閑ナシ
鳥獣ニ委シテ可
人中ニ幽アリ
市井更ニ寂
山雲無心
シカモ自ラ去来ス
一骨埋ム所
豈青山ニ限ラン
詩になっていないことは自分でも万々知っているが、自分の「志」ではあった。その後へ、もう一筆加えて、
岫を出づ雲のゆく方はいずこにや。西に候か。東に候か。
「厚顔無恥な者と、さぞお嗤いでござろうが、これが最後でござる。ただ一筆の御返辞をこれにて待ちます。その上にも、君命果し難き時は、この沢辺にて、切腹して相果てまする。何とぞ、もう一度のお取次を」