轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

03 第三分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 页

青空文庫

「いえ、牢舎から免された後は、木下様のお口添えで、やはり御城内におるがんまくという細作衆の下に働いておりましたので。……この度、木下様が洲股へ御出陣とあるので、望んでお供を仰せつかったのでござります」

「ふふ……む」

小六の眼は、茫然と、そういう甥の変った姿を、見ているばかりだった。

変ったのは、姿よりも、甥の天蔵の性格だ。一族のうちでも、兇暴野蛮で手におえなかった甥が、何さま、見ちがえるばかり礼儀も正しく、眼ざしも和やかに、前非を悔いて詫びているのである。

十年。――実に十年前だ。

八ツ裂きにしても!

と、この甥の悪行に怒って、遠く甲州境まで、一族をつれて成敗に追いまわしたものである。

その時の憤りは、今の天蔵の実直な眼を見ていると、思い出すこともできない。――血縁の情ばかりではない。天蔵自身の人間がまるで変っているからである。

「おう、ついまだ、後のはなしと思って、申しあげずにおりましたが――甥御どのの御勘気は、この藤吉郎に免じ、どうぞ許してあげて戴きとうござる。すでに今日では、天蔵どのも、非のない織田の家中。御自身でも、ふかく以前の罪を詫びて、ただ日頃、叔父御へ合わせる顔もない。