轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんさいゆうき

新西遊記

久生 十蘭

「別冊文藝春秋 第十九号新春小説集」1950(昭和25)年12月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,654 字 · 52 页

青空文庫

受刑者は首と両腕を一つの鎖でいっしょくたにまとめられ、坐ることもできなければ身体を伸して寝ることもできず、背を曲げ、何年となくかがんだままの恰好でいるので、四肢は使途を失って骨と皮ばかりになってしまう。食餌は番僧が思いだしたとき、檻の鉄棒の間から便宜に投げこまれる。西蔵ではめずらしくない零下二十度という寒い日でも、蔽い物として羊の皮を一枚与えられるだけである。欧羅巴のカロリナ刑法は、拘禁が餓死に導くように配慮されているが、西蔵人のやりかたは、カロリナ刑法から餓死の部を引き去り、それにハンブルグの鎖拷問と西班牙の拘搾拷問を附け加えたものであることがわかる。

これがラマ教徒の加虐性が怠けているときの結果だが、そういう状態で、最低五年から二十年ぐらいまで忘れられる。受刑者のことだが、そうしておし縮められた肉体の苦痛は言語に絶するものがあろう。飢えさせられ、凍てつかされ、呪われたものの呵責をこうむりながら、どうして生きていかれるのだろう。人間の智慧ではわからないことだが、ここにもラマ教徒の行届いた残酷技術の勝利があることを知らなくてはならない。というのは、そういう不幸な受刑者の命の緒をつなぎとめ、天寿が終るまで、ゆるゆると生きつづけさせる延命薬のようなものが発明されていて、渇きの頂上で水に混ぜてこっそり飲ませる