轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
佐々木味津三『旗本退屈男』。同一底本的分册已合并为一书。收入:旗本退屈男、旗本退屈男、旗本退屈男、旗本退屈男、旗本退屈男、旗本退屈男、旗本退屈男、旗本退屈男、旗本退屈男、旗本退屈男、旗本退屈男。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 240,656 字 · 478 页
その四人の中でも溝口豊後守と言えば、世にきこえた智恵者なのです。
「ここへ通せ」
さすがにひと膝退って主水之介は下座。上座に直した褥のうえに導かれて来たのは、目の底に静かな光りの見える微行姿の豊後守でした。
「ようこそ……」
目礼とともに見迎えた主水之介のその目の前へ、黙って豊後守はいきなり脇差しをつきつけると、声が静かです。
「これをお貸し申そう。早乙女主水之介の最期を飾らっしゃい」
「アハハ……。なるほど、ゆうべの膝枕の借財をお取り立てに参られましたか。なかなかよい膝で御座った。まさにひと膝五千石、切腹せいとの謎で御座るかな」
「その口が憎い。ひと膝五千石とは何ごとでござる。江戸八百万石、お上が御寵愛のお膝じゃ。言うも恐れ多い不義密通、上のお耳にもお這入りで御座るぞ。表沙汰とならばお身は申すに及はず、お紋の方のお名にもかかわろうと思うて、溝口豊後、かく密々に自刄すすめに参ったのじゃ。わるうは計らぬわ。いさぎよう切腹さっしゃい」
「アハハハ。なるほど、五千石はちと安う御座ったか。いかさま八百万石の御膝じゃ。そうすればゆうべの片膝は四百万石で御座ったのう。道理でふくよかなぬくみの工合、世にえがたき珍品で御座りましたわい」