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ひはかがやけり
日は輝けり
宮本 百合子
「中央公論」1917(大正6)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页
苦しい思いで埋まったような毎日を送りながら、浩はフト思いついて、万朝に短篇の小説を投書した。腕試しということもあるが、賞金を一層彼は望んでいたのである。けれども、結果は反対になってしまった。掲載され、金を送られてみると、彼にとっては、待ちに待っていた十円よりも、掲載されたということの方が倍も倍も嬉しかった。彼は興奮した。以前から、単に趣味というよりは、もっと喰差さった愛情、畏敬を持って文学に接していた彼は、このことで彼の境遇としてはかなり大きな励ましを得たのであった。
十円。持った瞬間彼の頭のうちには、買いたい本がずらりと並んでおいでおいでをした。けれどもすぐその晩、浩は、お咲の手にそっくり渡して来てしまった。
その次にお咲や孝之進などに会ったとき、浩は足の裏がムズムズするような気がした。「あの自分にとっては、忘れ難い十円を皆のために手離したのだ。よかった。けれども……?」彼は誰か何かそれに就いて云い出しはすまいかと思った。そして、心のどこかで待っていた。が、帰るまで終に一言も、それが云い出されなかったときには、安心したような物足りないような心持が、一杯になっていたのであった。