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ひはかがやけり

日は輝けり

宮本 百合子

「中央公論」1917(大正6)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,445 字 · 152 页

青空文庫

お咲自身も気が気でないと同時に、永病人に有勝な、我がままや邪推が出て来て、病み倦きた者と、看病疲れのした者との間にはとかく、不調和な空気が漲りたがった。浩はどうかして、一週間でも十日でも海岸へなり姉をやってみたいと思った。けれどもそれというのもすぐ金の入用な話で、彼の腕では及びもつかないことである。それかといって、誰かから出してもらって、ハラハラしながらする養生などは、結局何の役にも立たない。彼は、このごろしきりに金という問題に苦しめられる自分の頭をいとおしむような心持になった。もちろん彼とても、金を全然卑しむべきものだとは思っていない。けれども、自分の労力に相当するより以上の報酬を夢想して見たりすることはいやであった。どんなに困っても、友達から借りることなどはできない質である。よく新聞などにある詐欺に、かける人間も、またかかる人間も、望むところはただ一つなのだと思うと、浩はお互に可愛いところがあるというような気持になったりした。

このごろではもうお咲も、浩に厭な顔ばかりを見せている元気もなくなった。一人でも親身に自分のことを心配してくれる人が有難く思われた。