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じつげつボール
日月ボール
小川 未明
「国民新聞」1930(昭和5)年5月4日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,923 字 · 6 页
子供たちは、その男を取り巻いて、感心して見ていました。そして箱の中に、並べてある珍しいものにも見とれていました。清さんは、その男が、山の上で、日月ボールをやっていた男に似ていたというのでした。
「日月ボール一本二十銭、買わずにやってみようというなら五銭、うまくやれば、外国の古い切手でも、貨幣でも、紫水晶でも、なんでもあげます……。」
その男は熱心にしゃべっていたのです。
「その男は、子供をだます、悪い男だったが、そのとき持っていたのは、金光りでなく、赤い日月ボールだった。」と、清さんはいいました。
「ほんとうのこと?」と、孝ちゃんは、清さんの顔を見上げました。
「ああ、ほんとうにあったことさ。」
清さんは、まじめに答えました。清さんのぼろ自動車にも、ときどき、お客がありました。清さんは、人間がいいから、近所の人々は、しぜん乗るようになったのでした。このときも、ちょうどお客があって、清さんは、出かけてゆきました。