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にほんのみんしゅうと「にほんてきなるもの」
日本の民衆と「日本的なるもの」
戸坂 潤
「改造」1937(昭和12)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,821 字 · 18 页
「日本的なるもの」は往々西欧的なものや又世界的なものに対立させられているようだが、恐らく夫は本音ではあるまい。之は実は単に、作家なら作家の足下にあるものという意味だろう。それを無雑作に日本的なものなどと云い放つから、妙な破目になる。今後の日本の文化を世界的なものではなくて国民的、民族的なものにしたり、ヨーロッパ的なものを排除することによって狭隘化したり何かしようとは、誰も真面目に思ってはいないだろう。実は却って自分=自我の足下にある故郷を、国際的に通用するものにしたいというのが、抑々の念願に相違ない。だが諸君の自我の足下にあるものは何か。日本の民衆ではないか。ただの日本やただの日本的なものではない筈だ。それとも諸君は民衆でない処の日本人ででもあるか。つまり日本に於ける政治的な支配者にぞくする文化人ででもあるのか。再びその点をハッキリして貰わねばならぬ。いやそれよりも先に、諸君は終局に於て日本民衆にとってのクラッセン・ゲーゲンザッツを認めるのか認めないのか、問題はそこに帰着する。之は単に政治上の問題ではない、今日の文化意識を貫徹する根本問題なのだ。