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にほんのみずをにごらすな

日本の水を濁らすな

坂口 安吾

「読売新聞 第二六六六四号」1951(昭和26)年3月12日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 940 字 · 2 页

青空文庫

アジア大会に日本の水泳選手が参加しなかったから水泳競技がないのかと思ったら、やっぱり、あるんだね。

どうして行かなかったんだろうね。相手が不足なのかね。外国遠征は毎年やって、もうあいちゃったし、夏のヒノキ舞台のコンディションにも影響する怖れもあるしというわけか。卒業試験のせいかね。

しかし、日本選手が到着したとき、インドの人たちは何より先に日本の水泳選手のことをきいたそうだね。日本のスポーツのお自慢はその筆頭が水泳だし、スポーツ界の世界的な花形でもある。日本の選手きたるときけば、何よりも水泳選手に来てもらいたいのは人情だろう。

日本の水泳は勝敗にとらわれすぎてはいないかね。

去年アメリカの水泳チームが来たとき、万人が何より期待をよせたレースはマーシャルと古橋の千五百メートルの一騎打ちだった。しかし日本は古橋を二百にまわして千五百にださなかったね。マーシャルは濠州人で、日米競泳の点数に関係しない番外の人物だ。日本の選手はマーシャルに負けてもアメリカに勝てばいいし、そのためには古橋を出さなくても間に合うという計算だった。そして古橋を日本の不得手な二百にまわして点をかせがせようという算段であった。