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あゆむ

日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三)

戸田 豊子

戸田豊子『日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:歩む、鋳物工場。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,183 字 · 44 页

青空文庫

しるこやの赤いのれんがひらひらした。幟の立った活動館の前や、そばやの角で、乗合は幾度か停車した。それから、白い埃をまき上げて、くねった町を走り続けた。

「交通難所」と立札のしてある二又道で、突然、車掌がやかましく警笛を鳴らした。乗客のおふじは頸を伸ばして窓外を振り仰いだ。

前方へ立ち往生して動かない数台の肥料車、――厚化粧の女車掌がハンケチでしっかり鼻を抑えている。

何様のお通りかと思う位、軒並に人々が固まっていた。おふじは夕陽の照り返しで眩しかった。片手で庇をつくって白い埃のまき上る方向を見定めると、そこらの町工場から煤けた顔の職工等がぞろぞろ出て来た。

乗客は腰を浮かした。

「火事じゃないのか?」

「さあ、しかし煙が見えん。」

「車掌さん、何です?」老婆が聞いた。

「さあ――」女車掌にもわからなかった。

「お降りになる方は切符を頂戴いたします。」

先を争って降りた。文坊は飴の様に手足を伸ばして眠っていた。おふじはそれを揺り上げ乍ら、人々の話している方へ近づいた。

――最初、オートバイが飛んだ……自転車が数台……それから佩剣を抑えたお巡りが三十人程走った……