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にほんしゅっぱんきょうかいろん

日本出版協会論

嶋中 雄作

「中央公論」1948(昭和23)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,985 字 · 18 页

青空文庫

あるほど心苦しい。殊に最も心苦しいことは、協会事務局が多年の経験と情実とで作成した原案そのものに明らかに不正と過失が伏在することを認めても、悲しいことにはこれを覆えすべきデータを有っていないことと、反対に、出たらめでも何でも資料らしき資料をかれらが持っているということである。いつの場合でも原案を覆えすことは困難なことに違いない。ましてああいう複雑かつ煩瑣な調査にはもっと専門的にぶつかった人間を必要とする。恐らくはどの委員といえども一人として自信を以て決定した人はいないのではないだろうかと私は思うのである。その意味において、よく協会が吹聴する協会の文化委員会についても、私は同様の疑問をもっている。なるほど個人個人としては学識経験ともに優れた学者、識者を網羅しているに違いない。だから形の上においては実に立派な堂々たる委員会が形作られているようだが、実際には果たしてどうであろう。しかもその数百五十に上るというのではなおさら心配である。責任はその数が多ければ多いほど責任を分担することになって無責任になり易いものである。私は統制会時代に各五十名の書籍委員、雑誌委員というのがあって、それがいかに滑稽な有名無実に終ったかをまざまざと見せられている。