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にほんしゅっぱんきょうかいろん

日本出版協会論

嶋中 雄作

「中央公論」1948(昭和23)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,985 字 · 18 页

青空文庫

が、中でも思想とか言論とかいう精神文化に属するものを、ある限られた少数の人間によって統制しようとすること自体がまさに天を恐れざる仕業である。しかし、資材の絶対量の不足が、一時的にもせよ統制を必要とするならばそれは仕方がないとして、その場合かかる重要な仕事が一官庁の権限に集約されることはもとより本意としない。しかしながら、日本出版協会のごとき過去の札つきによって実質的に統制されることはなおさら本意としないのである。かれらは官僚に対しては出版業者の全体を会員とする自治的・民主的団体であるといい、出版業者に臨むには用紙割当権という伝家の宝刀を抜いて官僚的・封建的・独裁的権力を揮おうというのであるから、それは戦時統制時代よりも一層厄介なものであり、一層極端な弊害を醸すものということができる。

おもえば日本出版協会が終戦直後その看板を塗り替えた時に掲げた創立の趣旨は、次に挙げる三点であった。

(a) 日本のすべての出版業者を包含すること

(b) 出版用紙割当権を持つこと

(c) 用紙の一手買取り及び一手販売機関であること

これが昭和二十年十月のことである。かかる戦時非常権力の残滓を餌にして出版業者を操縦し、またかれらを威嚇した。