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にほんしゅっぱんきょうかいろん

日本出版協会論

嶋中 雄作

「中央公論」1948(昭和23)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,985 字 · 18 页

青空文庫

こういうことは戦術的に見ても愚かなことで、道義的に観てなおさら許されるべきことではないのである。なるほど講談社、主婦之友社等七社は戦時中確かに行き過ぎはあった。しかしそれをいえば当時の同業者は多少とも誰しも同罪で、大きな口を利ける者は一人もないはずである。殊に日本出版文化協会――日本出版会――はこれら一群の柔順な羊をしてかかる罪過を犯さしめた本家本元であって、その後身たる日本出版協会が弾劾の急先鋒となるなどということは、ちょっと聞いたのでは信じられないほどの滑稽なる矛盾である。出版協会といえども、今ではこの滑稽なる矛盾に気が附いているであろうが、この矛盾を敢えて犯さしめたところのものは何かといえば、協会及び協会職員の中に内在する弱点がそれをさせたのである。心に罪あるものほどその非を蔽おうとして焦るものだからである。看板を書き替えた手前、一刻も早く民主的実践を示さんとして極左的の勢力に取り縋ったのが間違いだったのである。かれらは溺れんとしては藁でも何でも掴む。それが右翼であろうと左翼であろうとお構いなしである。であるから、星移り月変りして、またしても反動の大浪が揺れたとき、いちはやく民主主義の旗を巻いて再びファッショの陣営に馳せ参ずる者はかれらでないと誰が保証出来るだろうか。