轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
春三たび
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,829 字 · 25 页
そういう気がした、これからすべてを良人とふたりして築きあげてゆくのだ、そういう実感のたしかさが、十七歳のかの女にはいかにもちから強く、新鮮に思えた。……そして二十余日、まだ「妻」という言葉さえしかとは身につかぬうち、良人は晴れの戦場にめぐまれて出陣することになったのである。
戸田氏銕が大垣へかえったのは十二月二日だった。陣ぞろえはできていた、左衛門氏銕をはじめその子淡路守氏経、二男三郎四郎、老臣では大高金右衛門、戸田治郎右衛門、そして騎馬徒士とも二千百余人である、和地伝四郎も人数にはいっていたし、伊緒の実家でも兄と弟がお供に召された。父は痼疾の胃がひどく悪くて動けず、泣いて無念がったということを伊緒はあとで聞いた。義弟の郁之助も泣いたひとりだった。
「では留守をたのむぞ」
そう云って伝四郎が出ていったとき、伊緒と共にかれは表まで送ってゆき、そこに立ったままぽろぽろと涙をこぼして泣いた。
「残念だ、こんなからだなら、いっそ生れてこないほうがましだった」
口惜しそうに呟きながらいつまでもそこで泣いていた。伊緒はそれを聞くとしめつけられるようにいたわしくなり、いっしょに面を掩って泣いた、そして泣きながらはげしく叱った。