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にほんぶんかしかん
日本文化私観
「現代文学 第五巻第三号」1942(昭和17)年2月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,816 字 · 43 页
和服の女が突然キモノを尻までまくりあげる踊りなど色々とあって、一番おしまいに猫八が現れる。現れたところは堂々たるもの、立派な裃をつけ、テーブルには豪華な幕をかけて、雲月の幕にもひけをとらない。そうして、喧嘩したい奴は遠慮なく来てくれという意味らしい不思議な微笑で見物人を見渡しながら、汝等よく見物に来てくれた、面白かったであろう。又、明晩も一そう沢山の知りあいを連れて見においで、という意味のことを喋って、終りとなるのである。何がためにテーブルに堂々たる幕をかけ、裃をつけて現れたのか。真にユニックな芸人であった。
旅芸人の群は大概一日、長くて三日の興行であった。そうして、それらの旅芸人は猫八のように喧嘩の好きなものばかりではなかった。むしろ猫八が例外だった。僕は変るたびに見物し、甚しきは同じ物を二度も三度も見にでかけたが、中には福井県の山中の農夫たちが、冬だけ一座を組織して巡業しているのもあり、漫才もやれば芝居も手品もやり、揃いも揃って言語道断に芸が下手で、座頭らしい唯一の老練な中老人がそれをひどく気にしながら、然し、心底から一座の人々をいたわる様子が痛々しいような一行もあった。