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にほんりょうりのようてん
日本料理の要点
北大路 魯山人
――新雇いの料理人を前にして――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,879 字 · 16 页
ことであって、侯みずからの生活に忠実であり、趣味嗜好に徹底しておられたことを物語るのである。と同時に、彼の力、彼の好みに適応する料理人を求めて、満天下ひとりも発見できなかった事実も、あわせて物語るものであると言わねばならない。
そうであるなら、趣味嗜好に徹する大臣級をして、満足させるには、料理人において、たとえ教育や学問は身に具えなくても、質においては、まさに大臣級の天分を有する者でなければ、真に大臣級を動かし得るものではないという理論も成り立つだろう。
またまた人間の問題に陥ったが、小生自身が、古人のいわゆる「文は人なり」と喝破されたことに、一も二もなく同感する者であるがゆえに、料理づくりにおいても、もとより人であると深く信ずる。話はややもすると、人間の問題に帰納するが、とにかく、料理は複雑であって単純ではない。上中下の生活者個々に美食としての満足を得せしめるには、上中下三段の料理を、ことごとく知らなければならないのはもちろん、この上中下三段の相手を向こうにまわして、しかも、時と場合による適宜の処置を誤らないコツを心得なければならない。
たとえ一家の中においてすら、すでに老人の好むところ、若い人の好むところ、男の好み、女の好み、子どもの好み……と、さまざまである。