轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
にっき
日記
宮本 百合子
25 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,692 字 · 10 页
すこし大きい家は中庭づくりになって、土間が関西風にずっと裏までぬけている。
菓子類、かんづめ類どこの店にもなし。八百屋の少いのにおどろいた。魚屋も。乾物屋兼土間にすこし野菜を並べている店で、茗荷の子があるのを見つけて珍しく、五つ六つ買う。机の上に○ちゃんの写真でも置いたらいいだろうと、緑色縁の写真立てを買う。
十一時五十分のバスで野原へ戻る。
野原の村通りも全く面目を改めてしまった。去年はまだ人影も疎な村道だったのに、もううちの隣りの本屋からはじまって理髪屋、雑貨屋、文房具屋、魚屋、飲屋の赤提灯ずらりと軒並の店で、バスの停留場前の雑貨店は百貨店式にガラスのショウ・ケイスをいくつも並べ、資生堂の化粧品、ネクタイ、バッグ、ホームドレス、パラソル。いかにも若い職工さんだの女事務員たちの眼を惹きそうなものを並べて、その店に下っている化粧品広告の提灯の赤や水色の短冊は、海からの涼風でひるがえっている。
夜。夏祭。通りへ提灯をつける番がうちだというので、おばさんは○子にせき立てられて出る。裏のお宮からくり出した行列が、豊作祈願のために田めぐりをするのだそうだ。