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にっき

日記

宮本 百合子

30 一九四七年(昭和二十二年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,669 字 · 24 页

青空文庫

だから絶対に丈夫にならなければいけないし又来年は早く手まわしをして、二人で暮し、mが通勤の出来るところに暮さなければならないと思う。

一寸座敷の奥にひっこんでいたら、松林のむこうから俥がゆっくり入って来た。おやと思うと、mがおりた。白いさっぱりした靴をはいて。

この前のときもそうだったが、mを見た瞬間何だかきまりわるいような珍しいような、すこし違ったような感じがする。

「どうだったい?」

「大丈夫。――きれいな靴ね」

「うん、お化粧してきた、一寸おしゃれをするときれいになるもんだね」

「うちで?」

「いいや秋葉原んところでやらして来た」

m、この節随分いろいろ普通の生活になれて来た。

安芸がよこしたという果物のおみやげ。

おひるをたべ、一寸眠り二時から海へゆく。きょうはついてゆく。黒いめがねをかけて。葦の間をおりてゆく。茶っぽい水の流れている川へ出た。

「ここをわたるの?」「深くなりそうね」「この位まである」股の上のところをさす。「まあいい行って見ましょうよ」手につかまってスカートをたくし上げて入ってゆくほどに、下の白いものまでぬれて来た。「アラもう駄目よ、これじゃ」