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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

10 勝川花菊の一生

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,120 字 · 15 页

青空文庫

十人衆、五人衆、旦那衆と尊称され、髪の結いかたは本田髷細身の腰刀は渋づくりといったふうで、遊蕩を外交と心得違いをしていた半官半商であった。それらの侍たちや蔵前町人の豪奢を幾度か知っている浜のものは、鯨が上ったように悦んだ。

だが、ある夜の中沢氏の旅宿には、湿っぽい場面が行燈のかげに示しだされた。それは木魚のおじいさんが幼少のころ出奔した、母親がたずねて来たのだった。成長した子供の前へ、恥もわすれて逢いに来た母親は、十二、三の女の子を連れていた。

「それは不義の子である、拙者に縁はない。」

大体の侍ならそういうであろうを、おろおろ泣いている母親と義妹とを見ると、捨てられた当時を思いだして、自分も泣いた子供心にかえって咎めなかった。

江戸入りは三人になったが、厳しい藩邸の門はさすがにくぐらせられない。出入りの町家に預けておくうちに母親は鳶頭のところへ娘を連れて再縁した。そこに年頃のあんまり違わない娘があったので、連子は妹とよばれ、おなじように稽古ごとも習わされるようになった。

この二人娘が姉は踊りで、妹は三味線で売り出して、諸大名のひいきも多くなった。