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めいあんよめもんどう

明暗嫁問答

山本 周五郎

「講談雑誌」博文館 、1946(昭和21)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,984 字 · 43 页

青空文庫

品を集めているが、家中の評判はあまりかんばしくない、松なら松、蘭なら蘭という筋のとおった趣味ならいいが、仕立てるものが手当りばったりだし、柿だの梨だの柘榴だのと生のものまでやるのは品がない、あれは本当に盆栽の趣味を解してはいない、そういうのが一般の定評になっていた。もちろん相手が国老だし、忠言でもしようものならすぐ癇癪を起して、地錦抄だの、草木育種だの、石植譜だのというたね本を持ちだして来て懸河の弁を見舞われる、それで敬遠して、みんなみごとだおみごとと褒めるばかりだから、だから老人すっかり天狗になっているというわけだった。

「伯父上もうお下りでございますか、御出府の調度万端おとり済みとのことで御祝着を申上げます」直二郎は心から祝うように、そう云いながら側へ寄って来た、「これはこれはみごとにお手入れができましたな、これは蝋梅でございますか」

「どれが」と老人はびっくりする。

「このずんぐりした寸詰りの木です」

「それは八重紅梅だ、それからずんぐりとか寸詰りなどという褒め言葉はない、それではまるで背の低い人間の悪口を云うようではないか」