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めいあんよめもんどう

明暗嫁問答

山本 周五郎

「講談雑誌」博文館 、1946(昭和21)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,984 字 · 43 页

青空文庫

ことを云うもんじゃない」自分のほうがよっぽど詰らないことを云う、「……おまえは勘定奉行だから子をくれるにも勘定高いのだろうが、人に遣るなら自分が惜しいほどの子をすすめるのが当然ではないか、これ以上つべこべ云うと兄弟の縁を切るからそう思うがいい、だが直二郎だけはすぐによこせ」あらましこんな意味の手紙を遣った、こういうゆくたてがあったのち、直二郎を福山へひきとったのであった。

勘太夫は、直二郎が五歳ほどのときいちど会ったことがある。色の白い、眼のくりくりとした顔だちで、頓狂なことを云って笑わされた記憶があった。以来殆ど二十年ぶりの再会であるが、幼な顔のそのまま残った明るい眉つきで、こちらを見るといきなりにこっと微笑されたときは、勘太夫われ知らず、「儲けた」と思ったくらいである。これは儲けものをした、源左衛門がくれたがらなかったのもむりはない、これは大した拾いものだ、そう思ってひじょうに気をよくしたのであった。

勘太夫は若い頃に江戸邸で用人を勤め、酒も呑むし遊里などへも旺んに出入りして、ひとさかり家中での「通人」と云われた