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めいあんよめもんどう

明暗嫁問答

山本 周五郎

「講談雑誌」博文館 、1946(昭和21)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,984 字 · 43 页

青空文庫

双の乳房まで、一点の瑾もない眩しいほどの美しさだった。お笛はしずかに勘太夫を見た。

「この男は腫物の手当をしたと申します、どうぞごらん下さいまし、女が生涯の良人に捧げる大事なからだ、蚊にも刺させず大切にしてまいりました、腫物はおろか針で突いたほどの瑾もございません、これで不義をせぬという証が立ちは致しませんでしょうか」

「たしかに見届けた、長吉とやら」勘太夫はつと刀へ手をかけた、「おのれ逃がさんぞ」

悪人だけに見切りは早かった、老人の手が刀へかかったとたん、行灯を蹴倒してぱっと横っ跳びに、開いている障子から庭へと鼬のように消えていた。

「顔は見覚えたぞ」老人は暗闇のかなたへそう叫びかけた、「命が惜しかったらそのまま城下をたち退け、福山にうろうろしておると搦め捕って打首にするぞ」

すっかり元気をとり戻したとみえ、勘太夫の声はすばらしく高く、夜の空気にりんりんと響きわたった、顔も明るく、眼も活き活きとしてきた。お笛が倒れた行灯の始末をして燭台に火をつけた、老人は坐り直し、むしろ感謝するような調子でしみじみと云った。

「あっぱれだ、どうするかと実ははらはらしておったが、みごとな気転でよくきりぬけてくれた、あそこまでひき込んでいった