轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
10 その九 覆面屋敷
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,820 字 · 54 页
彼は一同に命じて息を正しくととのえさせた。
やがて彼は型の如くにコクリサマを呼びはじめた。同じ呼びかけをくりかえす。声が高まる。一同は自然に鬼気を感じてきた。もはや、笑いごとではない。呼びかけは高潮し、木々彦の髪の毛が逆立ち騒ぐかと思われるほど妖しく狂おしく波うち高まる。フシギや、テーブルが動きはじめた。コトコトとうごく。うごいて、とまる。にわかにはげしく揺れはじめる。静かになる。走るように、うごきはじめる。次第に小さくなり、やがて静止してしまう。また、コトコトとうごきはじめる。コクリサマを呼ぶ木々彦の声は、病的になり、やがて苦悶をあらわして、まるで嗚咽するように息苦しく、せつなくなった。全身に苦痛がみちあふれて、身をねじくっているようだ。その痛ましさ物凄さに一同は身の毛がよだち、銘々が鋭い痛みを感じるようにさえ思われたのである。木々彦の断末魔のような一声につれてテーブルがガタリと揺れてやみ終ったとき、
「ア、ア」
という叫びをもらして、木々彦はバッタリ卓上に伏していた。彼の上体はケイレンしていた。まるで彼の魂が、彼の身体から静かに離れつつあるようであった。