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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

12 その十一 稲妻は見たり

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,240 字 · 52 页

青空文庫

そこで二人でまた熱心にきいて廻ると、また三日かかって判った。由也らしい男は、時田と一しょでない時は、「カネ万」という小さな料亭で女をよびだして会っていたという。そこで二人はその料亭へ行って訊くと、

「ええ、そうですよ。母里さんは三月ごろからここへ来て女の方をお待ちになりましたよ。たいがい日曜日ですけどねえ。決して夜間にいらしたことはございませんの。女の方というのは十七八、すごい別ピンさんで、全然水商売の女じゃありませんとも。芸者? とんでもない。それどころか、女の方はヤソ教の信者ですとさ。教会へ行くのを口実にアイビキなんですとさ。チャッカリしてますよ。当節のハイカラさんはね。いいえ、二人が連れだっていらしたことはございません」

聞く重太郎は奈落へおちる如くである。三枝子とオソノは毎週の日曜に教会へ行くことができないから、代り番こに、隔週の日曜に教会へ行く。彼女ら二人揃っては行かれないのだし、重太郎も近ごろはもう教会へ行かれないほど毎日が多忙であった。三枝子が教会へ通う前後の行動は誰にも分らないのだ。

実に何たる事か。井戸に細工を施したのは二人組の男と判って妹の無実を明かにする日は近づけりと思っていたのに、妹が無実どころか、由也のアイビキの相手らしいとは。