轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
12 その十一 稲妻は見たり
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,240 字 · 52 页
ところがその晩のカミナリは、ピカリと光りだしたのが九時ちょッと前、八時半ごろ。主でなくてもピンに相違があるのか、カミナリのピカリがいつ始まったか、これは仲々わかりませんよ。
九時ちょッと前か、八時半か、とこれが後日の問題になったのは、本郷駒込の母里大学という役人の邸の話。このへんはお寺の多いところで、八百屋お七ゆかりのお寺もこのへんのこと。母里大学邸も、塀の隣が墓地ではないが、裏の半町ほど先は墓地である。
主人の大学は今で云うと農林省の相当のオエラ方の役人で、年は四十七。先月の終りから北海道へ官命で視察にでて、二十日すぎでないと戻らない。ところが留守の家族は、今度のお盆によんどころない墓参の都合があって、主人が出張で行かれないから、妻ヤスノ(三四)が多津子(十五)秀夫(十二)大三(七ツ)の三子をつれ、家令今村左伝(六二)同人妻カメ女(五五)と、ハツエ(二二)佐和子(十七)という二名の女中をも供にしたがえて故郷九州に旅立ち、これも明十九日か、二十日ごろまで戻らない。
残っているのは大学生の長男由也(二三)。あとは召使いだけで、三枝子(十八)オソノ(十八)の女中二名と、馬丁の当吉(三八)同人妻ラク(三六)、主従合せて五人だけだ。