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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
14 その十三 幻の塔
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,140 字 · 31 页
ところで、つかないことを訊きますが、島田幾之進てえ武芸者は、シナにツナガリのある仁ですかい」
「ちかごろ名題の曲者だなア。オレがシナにいたころは、そんな名を一度もきいたことがないな。だがな。アチラの馬賊の頭目や海賊の頭目に日本人が一人二人いるらしいが、誰も日本名を名乗っちゃいねえよ。みんなアチラの名がついてらア」
「平戸久作てえのは?」
「それは棉花を買いつけて、ちょッとばかしもうけた商人だ。大坪彦次郎てえのが相棒で、モウケたと云ってもそれほどの成金ではないが、こういうカセギをするにも、それ、山本定信の手を通し、進物を呈上しなくちゃア事が成らないてえワケだ。山本定信に見放されると、あとのカセギはできないぜ」
「なるほどねえ」
これで大体の当りはついた。ただ問題は島田幾之進であるが、平戸久作が山本定信にそむいて葉子を三次郎にめあわすとすれば、島田は山本と対立しうる実力者であるに相違ない。
するてえと、蛸入道とガマ坊主は何を目当てにたくらんでいるのであろうか。
島田一族という奴は、とにかく薄気味わるい怪物ぞろいだ。おまけにニセツンボは山本定信の廻し者に見破られている。