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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

14 その十三 幻の塔

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,140 字 · 31 页

青空文庫

あるいは島田一族にもとっくに見破られているかも知れない。

しかし、ベク助とても悪党の筋が一本通っている点では人後に落ちない曲者だから、みんな見破られているようだと分っていても、よろしい、一そうやってやれという不逞な根性が鎌首をもたげるのである。

五忘の奴にたのまれた約束なんぞというチャチな問題ではなかった。敵を大曲者と知り、見破られたと知る故に、敢て五忘の註文通り縁の下から通じる道を立派にしとげて怪物どもの鼻をあかしてやろうと決意をかたくした。

そこでベク助は普請に精魂を傾けた。一手に大工も左官も屋根屋もやる。九月上旬からかかって十二月の半ばに八畳と四畳半と三畳に台所をつけた小さな別宅が完成した。一人で仕上げたにしてはたしかに見事な出来。ところが台所の板をあげると下が物置になっている。物置の四方が塗りこめられていて縁の下との仕切りは完全のようであるが、実は幅三尺、高さ二尺の石のカベが動くように出来ている。この苦心はナミ大ていなことではなく、しかし堂々とやってのけた。

島田幾之進はベク助の熱心な仕事ぶりと見事な出来を賞して、多額の金品を与えた。

ベク助はその日七宝寺へ立ち帰ると、五忘に向って、