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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
14 その十三 幻の塔
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,140 字 · 31 页
のみならず、生れつき手先が器用だから、自分で仏像をきざむ、倅の五忘には小さい時から仕込んだから、親子鼻唄マジリで年に二十体も仏像を刻めば大そうなミイリになる。泥づけにして、千年前、六百年前、何々寺の尊だ秘仏だと巧みに売りさばくのである。
たまたま旅先で箕作りのベク助の器用な腕に目をつけた。これを雇入れて、生産力が倍加したが、五忘の奴が父に劣らぬ道楽者で、父子相たずさえて遊興にふける。お寺の本堂でバクチをやる。ミイリはあるが、出るのも早くて、年中ピイピイである。
ベク助は住込みで月十円の高給。食住がタダで十円だから、相当な給料だ。三休と五忘は時に貧窮して、ベク助に金をかりる。すると天引き二割、月の利息二割で貸しつける。とりたてはきびしい。ベク助は大望があるから、今はせっせと金をためているのである。
ベク助は箕作りとはウソであった。
人殺しと牢破りの兇状もち。名古屋に生れて東京横浜で育ち、大阪で牢に入った大工の新八という名題の兇状もちであるが、うまいことには牢を破って山中をうろつくうちに、熊と闘って額から頬へ平手うちをくらって、片目がつぶれ、片アゴをかみとられた。