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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

14 その十三 幻の塔

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,140 字 · 31 页

青空文庫

新宅の台所で新鮮なお茶を立ててあげようというダンドリである。この台所を使うのははじめてだが、板をあげると下に薪があるはず。そう考えて、板をあげた。

お紺は仰天して腰をぬかし、やがて十羽のアヒルがほえたてるようなオシの大騒音が起った。

人々が台所へかけつけてみると、お紺は喚きつつ腰をぬかしている。板を二枚あげかけて一枚は下へ落したが、中に見えるのは朱にそまった死体であった。

床の板をあげてみると、死んでいるのは二人である。鋭利な刃物で三四ヶ所刺しぬかれて血の海の中にことぎれている。

しらべてみると、お紺の父の三休と兄の五忘ではないか。まさに密室殺人とはこのことで、下の物置は四囲をぬりかためて、出ることも、はいることもできない。

しかも物置の内部だけが血の海で、台所に一滴の血がないのを見ると、この中で殺されたとしか思われない。

さすがの島田幾之進も茫然として考えることもまとまらない。ようやく放心を押し鎮めて、三次郎に向い、

「どうも、解しがたいことが起ったものだ。二人の坊主が、どこをどうして、この中で殺されているのか判じ難いが、婚礼のドサクサを見こんで泥棒に来たもののようだ。