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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
16 その十五 赤罠
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,372 字 · 67 页
だから、その晩は本宅か市川へお泊りの予定でさアね」
「本宅の留守番に紋附はいるまい」
「そんなこたア私ゃ知りません。本宅の留守番だって、オトムライの日は紋附ぐらい着ちゃアおかしいかねえ」
「隠すと為にならないぞ。妾が七人もいるそうだが、オトムライの留守番をいいことに、妾のところへ籠っていやがるのだろう。妾の名前と住居をみんな有りていに申しのべろ」
「ヘエ七人もお妾がいましたかねえ。世間の旦那は飯たき婆アにお妾のノロケを言うものですかえ。私ゃウチの旦那からそんなノロケを承ったことがないね」
ちょッと海千山千という目附の老婆。
重二郎の妾が七人というのは警官のデタラメだ。重二郎は身持ちがよくて、妾があるような噂も近所に云う者はいなかった。
それから二日すぎても重二郎は姿を現さなかった。しかし、そこに、喜兵衛焼死とむすびつく曰くがあるかも知れないということは、まだ考えた者がなかった。そこに最初に目をとめたのは、新十郎であった。
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花廼屋と虎之介の心眼は直覚的に犯人はコマ五郎と見破ったが、その狙いあやまたず、コマ五郎の逮捕を見たから、ちかごろの警官もチョイとやるようになったなア、とアゴをなでつつ、帰京した新十郎に報告した。