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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
16 その十五 赤罠
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,372 字 · 67 页
新十郎はきき終って、
「コマ五郎の輩下の者どもが、焼跡に誰かが死んでいると口々にフシギがって言い合ったのは、あなた方もききましたか」
「いえ。私らはきかないねえ。そんなこたア問題じゃアない」
「それを見た聞いたと云った人は、どんな人ですか。たとえば、女中、芸者。旦那衆……」
「そう。旦那衆も五六人、いたねえ」
「その旦那衆とは?」
「木場の旦那さ」
新十郎はジッと二人を見つめて、
「山キの主人が頭をまるめ法衣をまとって棺桶にねてから、フタをとじて担ぎだしてダビ所に安置してコマ五郎が扉をしめ錠を下すまで、あなた方は目を放さず見ていたのですね」
「そこは、あなた、本日必ず事件ありとチャンと見ていた私らだねえ。参列者の最前列へでて、一部始終を寸刻も目を放さずに見てとりましたねえ」
「人の姿にさえぎられて、喜兵衛の姿があなた方の目を放れた瞬間は?」
「それは、あなた、十六人の坊主がとりまいてクルクルとまわる。五六十人の火消人足が棺桶をかついでダビ所へ送りこんで木やりを歌う。時には見えない時もあろうさ。だが喜兵衛はたしかに棺桶にはいりました。そのままフタを釘づけにしましたねえ。