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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
16 その十五 赤罠
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,372 字 · 67 页
ときくと、土佐八と波三郎は心底から呆れ顔に新十郎を見つめて親子は目を見合わせ、
「抜け道なんぞ、あるかい。抜け道どころか、蟻の這いでる隙もないように念を入れて造ったものだ」
「蟻の這いでる隙もないように。……するとなるべく煙の吹きこむ隙がないように、というためにですね」
「そんなこたア知らないが、床も羽目も内と外から二重に厚板を合わせてピッタリと蟻の出入りの隙もなく念を入れた仕上げだよ。はばかりながらコマ五郎一家の仕事はタネも仕掛もありやしねえ」
「親分の話では、内から扉をひくと錠が外れて落ちるように浅く錠を使っていたそうですが」
「そこは親分だけが手を施しなすッたところだろうから、親分がそう言うなら、その通りだろうじゃないか」
土佐八の返答はうるさそうだった。波三郎はハナから一言も語らず、土佐八ももう返答をしなくなったので、新十郎はイトマを告げた。
「ロッテナム美人館以来、犯人は西洋奇術使いとオキマリのようだが。ハッハッハア」
と虎之介がからかったが、
「そうなんですよ。大の男が自在に出入できるだけが奇術の仕掛ではないのですよ。蟻でも出入できないという奇術の仕掛もあるようです。