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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
17 その十六 家族は六人・目一ツ半
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,745 字 · 44 页
その高崎のお客てえのが、やッぱりここが定宿の人さ」
アンマの問わず語り。
昔は「アンマのつかみ取り」という言葉があった。今の人にはこの言葉の特殊の意味がわからない。アンマが人の肩をつかんでお金をとるのは当り前の話じゃないか。洒落にも、語呂合せにもなりやしない。バカバカしい、と思うだけのことであろう。
それと云うのが「つかんで取る」の取るというのがピンとこないせいである。アンマ上下三百文(三銭)。当今は若干割高になって百五十円か二百円。決して特に取りやがるナという金ではない。大きな門構えの邸宅に「アンマもみ療治」の看板が出ているタメシはない。もんで取る金が微々たるシガない商売だから、「つかみ取り」の取るという言葉の力が全然ピンとこないのである。
ところが、江戸時代はそうではない。料金は当今と比例の同じような微々たるものでも、縄張りがあった。八丁四方にアンマ一軒。これがアンマの縄張りだ。八丁四方に一軒以外は新規開業が許されないという不文律があったのである。
だから、アンマの師匠の羽ぶりは大したものだ。多くの弟子を抱えて、つかみ取らせる。師匠は立派な妾宅なぞを構えて、町内では屈指のお金持である。