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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
17 その十六 家族は六人・目一ツ半
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,745 字 · 44 页
ほかに室内を物色した形跡がなかった。
角平と弁内が仕事にでたのは十時半。そのときまでオカネは冷酒をひッかけ、相当よッぱらッていた。
最初に仕事から戻ったのは弁内、一時ちょッと過ぎたころだ。彼はそれまで石田屋で、仁助のほかにもう一人のお客をもみ、お帳場でイナリズシを食べさせてもらッて帰ってきた。彼にはアリバイがあった。
一足おくれて、稲吉が流しから戻ってきた。つまり、犯行は十時半から一時ごろまでの間であろう。
三時すぎに角平が戻ってきた。一足おくれて、お志乃が戻ってきた。
一時すぎから三時すぎまでの間にも戸締りのなかった二時間の空白がある。しかし、警官が駈けつけた午前四時にはオカネの死体はまったく冷くなっていたし、タタミやネダをあげるという大仕事を、耳さとい二階のメクラたちに知られずにやれるとは思われない。弁内と稲吉はしばらく寝つかれなかったというが、怪しい物音はきかなかったと言っている。
「六人家族と云っても、目玉は合計一ツ半しかないのです」
と、新十郎を呼び迎えにきた古田巡査が報告した。
「一ツというのはお志乃。半分はオカネ。オカネの片目はボンヤリとしか見えないのです。