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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
07 その六 血を見る真珠
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,951 字 · 51 页
すると彼はそのままゴロリと後へ倒れた。
「アアッ!」
叫んだのはトクと八十吉とキンと竹造と同時であった。トクは走り寄った。
「潜水病だ!」
八十吉は仁王立になって、
「まだ陽もある。波も静かだ。海底へ降してふかすのだ。早く手当てすれば、早く治るのだ。潜水船を降してくれ」
清松は巨大な真珠に盲いて無理をしたのである。老貝を探すために一時も長く海底を歩こうとした。老貝を探してつい深海へも降りて行った。その無理からである。ふかす、というのは当時に於ける唯一の療法。自然にあみだした日本潜水夫の療法だが、理にかなっているのである。つまり病人をもう一度深海へ降すのだ。軽症ならば、深海へ降すと、そこにいるうちは治った状態になる。これを徐々に上昇させて、くり返すうちに全治させる方法であった。
幸い清松は軽症だった。肩から両手にかけて、又、膝の下に痺れが残った程度で、三日もたつと激しい苦痛はなくなってしまった。
積みこんできた食糧や水の用意が心細くなっていた。しかし清松をふかさなければならないので、畑中は一同が帰国を急ぎたがるのを制していたが、五日すぎて清松の身体に肩の痺れが残っているだけ、もう水中へ降さなくとも自然に全治すると分ったので、いよいよ出帆、帰国ときめる。