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せいざ

星座

有島 武郎

1922(大正11)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,460 字 · 235 页

青空文庫

……おぬいさんが可哀そうだ……俺は何んといってもおぬいさんが可哀そうだ。……理窟なしに可哀そうだ……可愛さあまって可哀そうだ……俺は何んといっても悪かったなあ……生れ代ってでもこなければ、おぬいさんの指の先きにも、……現在触ってみたところが結局触ったにならない俺なんだ……俺は自分までが可哀そうになってきたぞ……」

いつの間にか彼は白官舎の入口に立っていた。

暗いラムプの下のチャブ台で五人ほどの頭が飯を食っていた。渡瀬はいきなりそれらの間に割りこんで坐った。

「ガンベか。ただ今食事中だ、あすこの隅にいって遠慮していろ。今夜はばかに景気がいいじゃないか」

といったのは人見だった。そこには園もいた。あとは誰と誰だかよく解らなかった。

「貴様は誰だ。(顔を近づけると知れた)うむ柿江か。誰だそこにいる貴様二人は」

「森村と石岡じゃないか。西山の代りに今度白官舎にはいったんだよ。臭いなあ……貴様はまた石岡にやられるぞ。そっちにいってろったら」

とまた人見がいった。渡瀬は動かなかった。

「何をいうかい。今日は石岡も石金もあるもんか……酔ったぐらいで人をばかにしやがると承知しないぞ、ははは……おい人見、ここには酒はないのか、酒は。