轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はる
春
岡本 かの子
――二つの連作――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,864 字 · 48 页
(二) 狂病院の桜
斯うして京子を庇って暮すことは物質的にも精神的にも、加奈子の負担は容易ではない。それにも拘らず加奈子の心のどん底では、これが当然自分の負うべき責任だと考えて居る。
自然な負担だという処に考えが落着いて居る。
義務とか、道徳とか名付けられない心の方向が、確かに此の世の中の人達の行為を支配して居る。加奈子はそれを疑うまいと結局の考えに落着くのであった。
加奈子は立ち上って、跳ね飛ばされていた電燈のカヴァーを掛けた。空寝か、本寝か、京子は眼を瞑って動かない。京子は気違いになってから、いたずら小僧かとぼけ婆さんのように、ばつの悪い時、よく空寝をやるようになった。
(二) 狂病院の桜
気の違っている京子の頭が、四五日前からまた少し好くないようだ。眼のなかに大きな星が出来たと騒ぎ始めた。朝起きると直ぐから、家の者に行き当り次第、眼を持って行く。
――私の眼に、大きな白い星が出てるでしょう。私、どうしても出てると思うよ。
そんなことはない、あなたの眼は、いつもの通り、はっきりと開いている。眸が却っていつもより綺麗だ。覗いて視ると、庭の木の芽が本当の木の芽よりずっと光って冴え冴えと映っている。