轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はる
春
豊島 与志雄
「文芸春秋」1926(大正15)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,464 字 · 21 页
ところが、接吻以後は、どうも僕にはついてゆけない。むりについてゆこうとすると、通俗になりそうな気がするんだ。」
「然し、通俗になるもならないも、材料の関係じゃなくて、取扱方だけに依るのじゃないか。」
「それはそうだが、どうもはっきりついてゆけないんだ。」
「それじゃあ仕方がない。彼は彼女に接吻した、それでぷつりと切っちまうんだね。……然し、やはり変かな。」
「うむ、どうも変でね。」
「変と云やあ変だね。」
そこで二人は口を噤んでしまいました。そして暫く互に顔を見合せながら、深く考えこみました。そのうちに、ふと白々しい気持になってきました。小説家の方も批評家の方も、自分達が如何につまらないことばかりを考えあぐんでるかということが、胸の底にぼんやり映ってきたのです。
そして二人共、いやあなちぐはぐな、おまけに呆けた気持になって、一寸どうしてよいか分らないで、茫然としてしまいました。
卓子の上には、もう酒の燗も冷えきっていました。そして食い残しの豆が転っていました。