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はるはよみがえる
春はよみがえる
小川 未明
「小学六年生 3巻11号」1951(昭和26)年1月新年特別号
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,577 字 · 12 页
しかしこのとき、彼には一抹の不安が、心にわき上がったのです。また同時に、どうかそんなことが起こらぬように、そして、おじさんも自分も、平和な春が楽しまれるようにと、祈ったのでした。その平和をかき乱しはしないかと、正吉の気にかかったのは、このごろ、この町へ越してきた青服の男のことでした。どことなくきざに見える、その男はサングラスをかけ、青地の服を着て、毎日空気銃を持ち、この付近をぶらついていました。
さらに、事実を上げると、先日のこと、男は、かきの木にとまった、すずめをねらっていました。この木は火をまぬかれた老木で、枝を張り、すずめなどのいい遊び場所でした。だれでも、こうした光景を見るなら、生物の命のとうとさを知るものは、神の救いを祈ったでありましょう。正吉も、心のうちで、どうか弾のはずれるようにと願っていました。しかし、精巧な機械のほうが、よりその結果は確実でした。たぶん、子すずめを助けたいばかりに、親すずめが身がわりになったらしく、いっしょに逃げればよかったものを、ただ一羽だけ、じっとして、弾に当たったのでした。
正吉だけでなく、酒屋の主人も、このありさまを見ていました。