轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
きのう・きょう・あす
昨日・今日・明日
織田 作之助
「キング 三月号」1946(昭和21)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,018 字 · 24 页
そう言われると、二人は、
「自分たちもそう思います」
と、うっかり(というより寧ろ本心から)そう答えてしまい、これでは手ぶらで帰るより仕方がなかった。
しかし、聴けば、たった一軒、兵隊さんになら、どんなことでも喜んできくという「兵隊きちがい」の松尾という家があるという。
二人は早速いそいそと松尾家を訪問した。ところが、
「鶏ですか。惜しいことをしましたよ。あればお安いことなんですが、うちに一羽残っていた奴を今さきつぶしてしまった所なんですよ。一足違いでしたよ」
という返事である。
しょんぼりと松尾家の玄関を出ると、
「どうせ、こんなことだろうと思った」
と、白崎は赤井の顔を見ながら、苦笑した。白崎はかねがね、
「俺はいつも何々しようとした途端に、必ず際どい所で故障がはいるのだ」
と、言っており、何か自分の運命というものに諦めをつけていたのである。
やがて二人はとぼとぼ帰って行った。暮れにくい夏の日もいつか暮れて行き、落日の最後の明りが西の空に沈んでしまうと、夜がするすると落ちて来た。
急いで帰らねば、外出時間が切れてしまう。しかし、このまま手ぶらで帰れば、咽から手の出るほどスキ焼きを待ちこがれている隊長の手が、狂暴に動き出して、半殺しの目に会わされるだろうことは地球が、まるい事実よりも明らかである。