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とけいやしきのひみつ

時計屋敷の秘密

海野 十三

「東北小国民」1948(昭和23)年5月~10月、「AOBA」(「東北小国民」改題)1948(昭和23)年11月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,481 字 · 74 页

青空文庫

五井が合図に、綱をひいて、それからむこうを向いて、せまい階段をのぼりだした。なにが、この時計台の上に待っているだろうか。

四少年の影法師が大きく壁にゆらぐ、みんなの足音が、気味わるく反響する。

ふいに、頭の上にばたばたと音がして、こっちへとびついて来たものがある。

「あッ」

「出たぞ」

大きな鷲のような影が、壁にうつった。

「コウモリだ。心配するな」

一番下にいる四本が、声をはげましていった。

「なんだ、コウモリか」

五井が持っていた竹の杖をぴゅうぴゅうふりまわす。すると、さわぎはさらに大きくなった。コウモリは一ぴきではないらしい、四五ひきはとんでいるようだ。

「コウモリがいるくらいなら、あとは大したものがいないだろう」

四本が、そういった。

「ほんと、きっと、外に何にもいないんだね」

四本の前の二宮が、ふりしぼったような声でたずねた。

「まあ、多分そうだろう。しかし五井君の方を注意していた方がいいよ」

「ああ、そうだ」

二宮の足は重いらしく、四本のすぐ前で立ち停りそうな足どりである。

「上まで来たよ、何にも出てこないや」

五井の声が、上の方で安心したような響きをつたえる。