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とけいやしきのひみつ
時計屋敷の秘密
海野 十三
「東北小国民」1948(昭和23)年5月~10月、「AOBA」(「東北小国民」改題)1948(昭和23)年11月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,481 字 · 74 页
そう思って、奥をすかして見たのであるが、奥はいよいよ暗く、それに通路が曲っているので、怪囚人の姿を見ることができなかった。
そこで八木少年は、前進することにきめ、階段をかけあがった。
階段をのぼり切ったところに、頑丈な扉がしまっている。錠がおりていると見え、押せど叩けどびくとも動かない。
「困った!」
が、そのとき彼は救われた。扉の上に、牡牛の像が、うき彫りにつけてあったからだ。
彼はのびをして牡牛の舌を指先でつきあげた。
すると、奇妙なことに彫刻の中の舌がひっこんだ。と同時に、ぎーッと音がして重い扉は向こうへ開いた。
「あッ、ありがたい」
牡牛の舌を下からつきあげると扉があく。このことは、怪囚人が教えてくれたことの一つであったのだ。
そこを急いで越えて前方を見ると、すこし通路を行ったところに、またもや上へのびる石の階段があった。
八木少年は、どんどんと階段をあがった。階段の上には、頑丈な扉があった。前と同じようであった。その扉の上には、やはり牡牛のうき彫がとりつけてあった。前に見た二つの牡牛の像もそうだったが、どれもすこしずつ牛の姿勢がかわっていた。