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あんごうのやくわり

暗号の役割

海野 十三

烏啼天駆シリーズ・4

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,409 字 · 23 页

青空文庫

あとに袋猫々ただひとりが、森閑とした部屋に取残された。

烏啼の館では慰労の夜宴が開かれた。

「あのポンスケ探偵も、今頃はさぞおどろいているでしょうね」

「ふふン、まさか毒瓦斯で呉越同舟の無理心中をやらかすとは気がつかなかったろう」

碇が掌の中で壊した硝子のアンプルの中には、無臭の麻痺瓦斯が入っていたのである。

「烏啼組じゃなきゃ見られない奇略ですね」

「なあに、大したことはない」

「われわれを一ぱい喰わしたつもりが、まんまと重要書類をさらって行かれて袋猫々先生、さぞやさぞなげいているでしょうね」

「袋探偵も、もっと自分の下に人員を殖やさないと、こんな目にあい続けるだろう」

「人件費が高くつくので、人が雇えないのでしょう」

それは本当だった。しかし袋探偵としては、既に烏啼の重要書類を写真にうつしたものを握っているので、烏啼の部下があざ笑っているほど歎いてはいない。

水鉛鉱の一件は、その後どうなったのか、話を聞いていない。