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そがのあばれんぼう

曽我の暴れん坊

坂口 安吾

「キング 第三〇巻第六号」1954(昭和29)年5月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,123 字 · 19 页

青空文庫

ポロリと刀を落して、目を白黒。五郎はその片腕と襟首をつかんで、

「そうれ。上りたければ上げてやるぞ」

ブン廻しのように振り廻して手を放すと、屋根の上へとんで行った。

「どうだ、上り心持は」

ガラガラドシンと下へ落ち、目をまわして、

「ウーム。酩酊いたした」

と言えなかったという話。

七人の悪侍は気絶した親分を抱きかかえて、コソコソと逃げだす。門前の群集、大喜びで、悪侍に石を投げつけている。そこへ十郎が辿りついて、弟を一同にひき合せ、勘当の事情を説明して援助をたのんだ。長者は大そう喜んで、

「居候なんて、とんでもない。大切なお客様ですよ。いえ、お店のお客様よりも大切にいたしますよ。何百年でもいて下さい。ねえ、虎や」

「ええ。その大きい立派なお方は命の恩人。大切にいたしますが、連れの痩せッぽちは、追んだして、塩をまいてちょうだい」

大そう怒っている。十郎は別室で虎にひらあやまり、勘当の弟を見てやらなければならないので訪ねることのできなかった事情を説明して、

「五郎がここへ居候ときまれば安心だから、五郎を置いてく代りに、お前をつれて曾我へ帰るが、どうだ。まだ母に打ちあけていないからすぐ結婚というわけにはいかないが、しばらく二人だけで楽しく暮そうじゃないか」