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げっせかいきょうそうたんけん
月世界競争探検
押川 春浪
「探檢世界秋季臨時増刊 第四卷第三號 月世界」成功雜誌社、1907(明治40)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,365 字 · 17 页
文彦はそのランプの光で二人の顔をすかし見たが、
「あッ」
といったきり、洋燈をそこに取り落して終った。この様子に東助は吃驚して駆け寄りながら、
「もし若旦那様どうなさりました。もし若旦那様。」
といわれて文彦はようように気を取り直して我に還ったが、再びその人に縋り付いて、
「叔父さん。僕です、文彦です。気を慥かに持って下さい。文彦です。文彦です。」
といいながら抱き起す。
東助も始めてそれと心付いて、
「おお篠山の旦那様でございますか。どうぞ慥りなさって下さい。若旦那様と東助がお迎に上りました。もし、」
と縋り付いて耳元で声をかける。
「薬※(感嘆符二つ、1-8-75) 水を早く※」
「はい。」
と東助がさし出す気付を口に入れて、吸筒の水を呑ませると、今迄息も絶え絶えに唸いていた博士は、ようように眼を開けた。
「叔父さん。お気が付きましたか。文彦です。僕です。」
「おお文彦か。」
「はい。」
「篠山の旦那様! お気がつかれましたか。」
「よく来てくれた。」
と一口言ったが、一時に安心するとともに、今迄張りつめた気も弛んで、再びそこに仆れようとする。
「叔父さん、どうぞ確然して下さい。