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あさのはなし

朝の話

宮本 百合子

NHKラジオの原稿、1946(昭和21)年9月13日放送

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,438 字 · 5 页

青空文庫

預金封鎖の強化と失業におびやかされて、芝居ずきの人も手当りばったりに金を出さなくなったわけです。本やでも同じことが云われはじめました。本当にいい本必要な本しか売れにくくなったと。

ここに、生活の条件とぴったりあった人の考えかた、判断というものがあらわれているわけです。

きょう本を買うにしても、その判断を示す一冊の本の買いかたに私たちの今日もっている文化の水準も傾向もおのずからあらわれているわけです。

一、ところが、面白いことに、そうして自分たちの文化の水準をまざまざ示して一冊の本でも買う方に、「今日の文化について御意見を」と云われでもすると、その人は何と答えられるでしょう。「やア、僕はそんなむずかしいことを喋る柄じゃないですよ、」と云う場合が多いのです。

一、民主的な社会で、大切なのは多数の人々の意見であり、多数の人々が自分の意見を出し合って、その結論を互に出発したところよりは高く豊富で合理的なところに育ててゆくのが大事な特長です。

一、輿論というと、むずかしく思えるけれども、誰でもきょうの現実に即して考えていられる生活のあれこれが、それぞれに一つずつの見解輿論のもとになっていると思います。