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ほんちょうへんたいそうれいし
本朝変態葬礼史
中山 太郎
「犯罪科学 増刊号 異状風俗資料研究号」1931(昭和6)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,960 字 · 24 页
また棺を出すには必ず家の戸尻より出し、棺の後に霊供持とて握り飯を持ち行く者と、水持とて水を持ち行く者あり、共に身近き婦人の役なり。亦た弓持とて竹の弓矢を携えて附添え行く者あり。墓地に至り棺を埋むるとき、彼の弓持、棺を覆い来たりし着物を弓の先に掛けて取り退け、穴の内に納め大石を其の上に直す。それより杖笠を置くことなどは常の如し。彼の枕をも上に据え置くなり。此の時水を手向なり。さて埋葬のまだ終らざるうち、彼の弓持一番に立帰り、家に至り大音にて、『宿借り申そう』と云えば、留守居の者が内より、『三日あとに人質に取られて、宿貸すことは出来申さぬ』と答うれば、又弓持、『然らば艮鬼門の方へ、世直り中直りの弓を引く』と言いつつ矢を番い、家の棟を射越し弓を踏み折りて投げ越すなり。然して墓所に行きたる者追々に立帰り、予て設け置きたるタマセと云うものを跨ぎ、箕の先より米を取り食い、門口の柱を廻りて内に入るなり。(土佐群書類従豊永郷葬事略記)
この記事は明治三年に認められたものであるが、かなり古風な葬儀と異態な作法を伝えている。六十年後の今日において、この中のどれだけが残っているか知らぬが、余り他国に類例がないので資料としても珍重すべきものである。