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ほんちょうへんたいそうれいし
本朝変態葬礼史
中山 太郎
「犯罪科学 増刊号 異状風俗資料研究号」1931(昭和6)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,960 字 · 24 页
葬儀の泣女と屍体を隠す葬礼
葬儀の泣女と屍体を隠す葬礼
我国には葬式の折に泣女を用いたことは神代からある。天稚彦を葬るときに雉を泣女としたことは有名なものである。そしてこの習俗は時代とともに段々と泯び少くなったが、それでも各地に渉って古い面影を残している。和歌山県の熊野、伊豆の大島、愛知県の村々、沖縄の各島々にあったことは誰でも知っているが、私の手許にあるものは如何なる訳か北越地方が多い。そしてこの地方は前記の地方とは異りかつかつながらも今も行われているのである。石川県江沼郡橋立村では死者に最も親等の近い婦人が、白帷子を被つて号泣しつつ葬列に従うがこれを帷子被りと云うている。旧時は種々の繰言を云って慟哭したものだが、漸く廃れて今は稀れになった。全体私の考えるところでは、泣女の古い相はこの帷子被りのように、死者の身近き者が当ることになっていたのが、時勢とともに赤の他人の、しかもこれを半営業とする婦人を雇うようになったのであると信じている。福井県丹生郡越廼村蒲生津は日本海沿岸の漁村中でも大部落であるが、ここでは今でも泣女を雇う習俗がある。その女は殆ど専門的の老婆で、その報酬に米を与えるが、その米の多寡によって泣く程度を異にし、随って死者の貧富の度が知れる。