轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

すぎがき

杉垣

宮本 百合子

「中央公論」1939(昭和14)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,051 字 · 30 页

青空文庫

勤め先の会議から帰って来ると慎一はきまって、茶漬食えるかい、ときくのであった。

四

日曜日のひる近くで、近所の中学生が杉垣の外でキャッチボールをしている音がきこえる。慎一は照子を抱くというより腹と膝との上にのせているという恰好で、小庭においたカンバス椅子に出ていた。風情もない庭だが、夏のはじめ頃彼等が散歩に出た時掘って来た萩がついて、四つ目垣のところで紫の小粒な花を開きかけている。

「峯子、萩のわきに、何か穂を出しかけているものがあるの、知っているかい」

峯子は、庭からも見通しのきく小さな台所の流し元で、

「萩より傑作なくらいね、何なのかしら」

シャベルで根をおこしたとき、一緒に根をつけて来たらしい野草が、芒に似た細葉をのばして、銀茶っぽい粒々だった穂を見せはじめているのであった。

「ああそこにあった手紙御覧になって?」

「知らないよ」

「『電電』の下にあるのに」

照子に何か云っている声がしずまって、その手紙をよんでいる風であったが、やがて、

「おい、ちょっと来ないか」

顔はまだ手紙の方に向けられている慎一の呼び声がした。

「すぐ」

「――来て御覧」